強風テント倒壊事件
油断していました。
気をつけてはいたのですが、まさかあんなことになるなんて。
後から思い返せばそうなる予兆はあったんです。でも大したことはない、大丈夫だろう、と思ってしまったのです。
そう、テントが倒壊したんです。
倒壊というのは、その言葉のとおり「倒れて壊れた」なのですが、本当にそんな感じのことが起こってしまいました。
倒壊の原因は強風です。強風をテントの側面から受けてしまい、押し倒す力に負けてメインポールが折れ曲がってしまったのです。
我が家のテントは堅牢な作りで定評のあるメーカーのもので、それなりに高価なトンネル型ツールームテントです。今までも強風キャンプなんて何度も経験ありますけれど全く問題なく、かなりの強風にも余裕で対応できてました。
でもあの日は油断した、ただその一点だけで倒壊にまで至ってしまったのです。油断といっても、うっかりミスでも些細なことを省略したのでもありません。実際にはテントの構造上、強度を確保するためには絶対に必要なことをしていなかったという、実に致命的なことをあえてしていたのです。
それで、何をしていなかったのか・・・、メインポールのガイロープを張ってなかったのです。なので、強風なのにガイロープ張ってなかったらそりゃ倒壊するわー、と言われればもう、ホントにそのとおりなんです。
当時は朝から強風で、ただそれでも前日の雨はすっかり止んでとてもいい天気でした。
撤収はまず雨に濡れたテントを乾かすのが何よりも大事ですけれど、欲を言えば地面も乾かしたい、というのも芝サイトということもあって、前日の雨で地面がベチャベチャ、しかもテント付近に土が露出している箇所があって、そこはもうドロドロです。テントにドロドロは絶対つけたくないので撤収時のテントたたむ時どうしようか、と悩んでいました。
テントは日光と強風によってすぐにカラッと乾いてくれましたが、実はこれはキャンプにくる前から想定済みなのです。
そうなるとやっぱり気になるのが地面のベチャベチャです。土が露出した部分のドロドロも含めて、なんとか乾かしたいのでテントのフロント、リア、サイドパネルを全て捲し上げて、タープのような形状にして、日光を当てて風通しを良くしました。ちなみにこの時点ではまだガイロープはしっかり張ってあります。
そのようにして地面を乾かそうと試みましたが、水はけが悪いようで全然乾かない・・・。
ところで我が家に割り当てられたこのサイトは、傾斜あり段差ありでなかなか使いにくいハズレサイトだったのですが、前日、雨が降る中でのテント設営の際、水はけの良い部分、悪い部分などは見分けが付きませんでした、というよりも雨降ってたので一面ベチャベチャで、水はけ要素はまったく頭になく、それよりも段差を避けて傾斜の緩やかな部分を探して、幾分マシな部分にテントを設営したのです。
雨がやんだ翌朝、水はけの良い部分と悪い部分がはっきりと分かるようになったのですが、なんとテントを設営したあたりはすごく水はけが悪く、他の部分は水はけが良かったのです。しかもテント付近は土が露出しているところがあって雨でドロドロなんですよね、ほんとにもう「設営する場所間違えたー!」と後悔しましたが、しかしもう撤収なのでどうでも良いのです。
さて撤収作業も終盤にさしかかり、いよいよテントを解体しようかという段階でも地面はまだベチャベチャ。なのでもうテント下の地面を乾かすのは諦めて、水はけが良くて既に乾いているところにテントを移動させてからテントを解体することにしました。
トンネル型ツールームテントは組み上がってしまえば自立するので、テントを立てた状態で場所を移動させることは可能なのですが、移動させるためにはテントと地面との連結を解除しなければなりません。つまりガイロープを外し、幕と地面を連結してあるペグを全て抜く必要があります。ただそうすると構造上とても弱くなる上に、風に煽られて吹き飛ぶこともあるので、風の強いときにそれをするのはリスクがあります。
リスクを最小限にするために風の吹いていないタイミングを見計らって、ガイロープを含む全てのペグを抜いて地面との連結を解除して、すぐさま地面が乾いているところにテントを移動させて、またすぐにテントをペグで固定しました。ペグで固定すれば少なくとも風で吹き飛ぶ心配はなくなるのでちょっと安心です。
と、ここまでやって「あれ? これからテント解体するのにまたペグで固定してしまった」ということに気がついて、再度ペグを抜いて解体しようとしますが、「でもちょっと待って! この乾いた地面、きれいな芝生って結構いい感じだし、まだチェックアウトには時間に余裕があるし、テントはタープモードになってて暑くない、このままピクニックみたいにして、もう少しだけのんびり過ごしてからテント解体しようかなぁ」と思い直したのです。ガイロープは全部外してしまったけどどうしようかと一瞬悩みましたが、タープモードにしてあるので風を受ける面積がすごく少ないから、強風もただ風が通り抜けるだけだろうと考えてガイロープは張りませんでした。
ということで、テントの下にテーブルや椅子をもってきて、のんびりまったりおやつタイム、あー、いい気分、というところで横風、しかもその日一番の強風が襲来し、テント倒壊でたちどころに地獄絵図と化しました。ちょっとした大惨事ですけど幸いにもその瞬間は家族みんなテント下におらず、倒壊に巻き込まれずにすんだので、怪我もなくほんとに良かったです。
とはいえ、折れ曲がったポール、無残な姿になったテント。「あー、しまったー、やっぱりガイロープは必要だった」という思いと「テント移動させたときにそのまま解体しておけばよかったー」という後悔の念もありつつ、でも意外と冷静に対処して、テントの損害のない部分に2次被害を与えないように配慮しつつとても効率よく解体して、そのまま撤収しました。
冷静でいられたのは、幸いにもメインポールが曲がっただけで幕自体は無事だったので損害は最小限だったことと、ポールは曲がった箇所だけ、節単位で交換できる、修理できることを知っていたからだと思います。
家に帰ってその日のうちにメーカーに問い合わせたら、翌日すぐに返事があり、そのまま交換品を注文したら、その翌日にはもう届いてました。思ってたよりもすごく早くてビックリです、さすがですogawaさん。
交換は全部で8節、送料込みで9千円前半で収まりました。修理は自分でやりましたが作業は簡単で完全復活しました。
あの時、ガイロープをしっかり張っていればポールを曲げることもなかったと思うと後悔はありますが、あの後、テントの構造を調べて、どのように強度を確保しているのか知って、トンネル型テントにおけるガイロープの重要性を再認識できたのは大きな収穫でした。今まではガイロープはただの補助的なものだと思っていて、それこそ風のない日は張らなくても問題ないと思っていたのですが、これは大間違い、たとえ風のない日だとしてもガイロープはしっかり確実に張る必要があるのです。このように認識を新たにもてたこともあって、とても良い経験になったと思えるようになったのでした。